東京高等裁判所 昭和28年(う)3279号 判決
被告人 加藤清一
〔抄 録〕
第二点について。
原判示第一の事実は被告人が判示木村より宮田重夫の為投票並びに投票取纏等の選挙運動を為すことを依頼されてこれを承諾しその際選挙運動を為すことの報酬として自己に金八千円の供与を受けたものであり、原判示第二の各事実は各判示の日時場所において各判示の者に各判示趣旨の下に夫々金員を供与したというにあつて原判示挙示の証拠により右認定は相当であり記録によると右第二に各供与した金員が第一の八千円の内から支給せられたものであることは所論の通りであるが判示第二の(一)(二)が所論の如く判示第一の供与を受けた其場に於て又(三)が其翌日に於て孰れも同趣旨の下に右八千円の中から支出せられたとしても苟しく判示第一の如く一旦自己の報酬として供与を受けた上更めて自己の判断と選択の下に判示第二の如く他に対し各供与した場合には所論の如く右供与を為した範囲内に於て第一の点が之に吸収されると見るべきではなく原判決の如く右八千円の供与を受けた所為と各供与を為した所為とは夫夫別罪を構成するものと解するのが相当である従つて原判決には所論の如き違法はなく。論旨は理由がない。